地中海地域の[長寿]
海外を旅していて、とある街に数日でも滞在してさまざまなことを見聞し、体験するうちに、その地の人々がいかにもいきいきと生活を謳歌していることに目をみはる思いをすることがあります。そしてそれが単なる主観的な印象でなく、現実に人々が健康と長寿を享受していることがわかったとき、医師としての私はその理由をあれこれと考えてみたくなります。日本も世界に冠たる長寿国といわれ、WHOによれば日本はただ[平均寿命]が長いだけでなく、[健康寿命]もあわせて世界一なのですが、医療環境、保険制度といった問題もさることながら、もっと身近なところ、つまり日本人は日常どんなものを食べているのか、睡眠や運動を含めたライフスタイルはどのようなものかといった観点から、まずは考え始めるべきではないかと私は思っています。
南欧の街で見かける高齢者は元気な人が多い。 |
日本では現在、急速に進む少子高齢化が社会に及ぼす負の影響、つまり労働人口の減少や、年金制度の破綻といった面ばかりが議論されていて、せっかくの長寿という長所にも暗いイメージがつきまとっています。最近の調査では20代から70代まで、年代を問わず日本人の八割が年をとることへの不安を感じているといいます。長寿の寿という字には長生き、齢の意のほかに、祝いという意味もあって、英語のlongevityとはニュアンスが違います。2002年度の日本人の平均寿命をみると、男性は喜寿に達し(78.4歳)、女性は米寿に近づいていて(85.3歳)、これがたとえ平均化した統計上の数値ではあっても、多くの国民が重い病気にならず健康を保っているのでなければ、現実問題ありえない話ですから、本来こんなに素晴らしいことはない。それなのに医療費給付は伸び悩み、年金財源は不足して、これほど勤勉な国民が年はとっても国から老後の面倒を見てもらえそうもなく、まだまだ高い住居費や食の安全性、あるいは効率社会から生じるストレスの問題を含めて、実感として私たちの生活環境は決してよいとは言えないのではないでしょうか。
のどかなイタリアの田園風景。キーズ博士の7カ国研究で、イタリアからは首都ローマに加えて、二地方の村の住人が、コホート(調査対象集団)として選ばれた。 |
そんな日本から遥かに遠い地中海地方に暮らす人々も、実は昔から長寿といわれてきました。それが医学的に初めて示唆されたのは、2004年11月にちょうど百歳で亡くなったアメリカの生理学者、アンセル・キーズ博士らの研究グループによって始められた7カ国研究によるのです。この大規模なコホート研究(註1)は、ギリシア、イタリア、旧ユーゴスラビアなどの地中海諸国、北ヨーロッパや米国、それに日本を研究対象国に含めて、1958年に着手されました。この研究は、食生活を主体とするライフスタイルと、癌や心血管病(動脈硬化に基づく狭心症や心筋梗塞、脳血管障害を含む)などの疾病の関わりを明らかにする意図で計画されました。そして研究開始後10年(つまり1970年頃)の追跡調査で、ギリシア、イタリアなどの地中海地域で、心血管病とある種の癌による死亡率が、世界で最も低いということが分かったのです。
(註1) | コホート研究とは健康人の集団を対象に、日常的な食生活を質問表などの手段で調査する研究方法です。その調査対象集団をコホートといいます。この集団を長期間追跡して、食品や栄養素の摂取量が多い集団と少ない集団で、疾病の罹患率や死亡率を比較するのです。 |
現在と比べれば、医療をとりまく環境整備も大分おそまつな時代の話です。しかも南欧というヨーロッパでも比較的貧しい地域で暮らす人々の方が、経済的にも豊かな北欧やアメリカを抜いて長生きだったのです。暮らし向きもよく、日常、栄養価の高い美味しいものを食べている人々の方が早死だなんて、これはもう当時の人々の常識をひっくり返すような出来事でした。実はこの研究から、今日では誰もが知っていること、すなわち血液中のコレステロール値が高いほど動脈硬化性疾患が進みやすい、日常脂肪分の多い食事をする人々は、狭心症や心筋梗塞になりやすいという事実が世界で初めて実証されたのであり、キーズ博士はミスターコレステロールとも呼ばれました。そして動脈硬化のみならず、加齢に伴って発症頻度が増えてくる癌などの疾病を予防するとして、世界的にブームを呼んでいる地中海式ダイエットを提唱したのもキーズ博士です。その彼が2004年、アメリカのミネアポリスの自宅で百歳の誕生日を迎えたとき、パーティーの席上、博士自身の長寿は、自ら提唱した地中海式ダイエットのおかげかと問われました。そのインタビューに対して、キーズ博士は科学者らしく、”very likely, but no proof.”と答えたということです。
注目すべきスペインという国
古都グラナダの裏通り。街並みは古いままでも、スペインほど生活形態が大きく変化している国はない。 |
地中海諸国でも、ギリシアのクレタ島のように、住民の食を含めたライフスタイルが、1960年以降何十年も変わらないといわれる地域があります。キーズ博士が提唱した地中海式ダイエットは、そもそも1960年台の南欧(ギリシアや南イタリア)に暮らす人々のライフスタイルや食事構成を基にしており、現在それが原型を留めているのは、ギリシアでもクレタ島くらいのものです。ひと口に地中海といっても、国と地域によって事情は随分異なります。
その地中海最西端の国、イベリア半島に位置するスペインも、以前より長寿の国として知られてきました。2002年のWHOの統計によると、スペイン人男性の平均寿命が76.1歳、女性が83.0歳と、ヨーロッパ諸国中十一番目、先進国では中の上といったランクですが、イギリス、フランス、ドイツなどEU主要国を上回っています。元来スペインでは大家族制の伝統が生き続けていて、出生率が高く、国民の平均年齢は下がり続けていました。しかしカトリックの影響が次第に薄れ、国民の生活向上意識が高まったために、1980年を境にして大家族制が薄らいできたといわれます。働く女性が増えてくると出生率は下がっていきますが、現在ではアメリカや北欧など、女性の労働力率が高い国ほど出生率も高いという正の相関関係が認められてきています。ところが、イタリアやスペインなど南欧諸国の出生率は下がったままで、しかし[平均寿命][健康寿命]は高く、少子高齢化が進む日本と状況が似通っています。近年の女性の社会進出、都市生活者の増加、大家族制の崩壊、ファストフードの氾濫などによって、スペインほど生活形態が大きく変化している国はないとさえいわれています。そんな中で、若者たちの伝統的な食生活離れ、健康によいとされる地中海式食事の崩壊の危機が叫ばれているにもかかわらず、スペインは[健康長寿]を謳歌している国の一つなのです。
先進国では飽食と運動不足が叫ばれ、肥満者と糖尿病患者の増加が社会問題化(註2)している中で、スペインは地中海諸国でも、若者を含めて肥満者の増加が特に問題になっている国ですが、総死亡に占める心血管病による割合が38%(1997年)と、地中海諸国の中でも例外的に40%以下にとどまっているのが特徴です。食事好きなスペイン人は、朝食はパンとコーヒー、10時にサンドウィッチなどの軽食をとり、昼食は13-16時にゆっくりと2時間ほどかけて食べます。18時にはバルと呼ばれる居酒屋でタパスをつまみに一杯飲み、20-24時に軽い夕食を食べる。つまり心臓病を起こさずに長寿を謳歌しながら、一日五食の食生活が存続しているということの不思議さです。
スペイン人はとにかく食事好き。 |
(註2) | 肥満は糖尿病だけでなく高血圧や脂質代謝異常の原因にもなります。これらの病気はすべて動脈硬化の危険因子であり、放置しておくと心筋梗塞や脳卒中といった心血管病を引き起こします。 |
真冬でも温暖なアンダルシア地方では、街のいたるところに、オレンジやレモンの実がなり、ジャスミンの花が咲き乱れる。 |
3年ほど前の冬、当時フランスに留学していた長女とスペインを旅行して、肉料理やタパス料理など美味しいものが溢れるこの国で、人一倍食事好きなスペイン人が、なぜ健康でいられるのかという疑問がしばらく私の脳裏から離れませんでした。帰国して医学論文などを読んでいるうちに、WHOの保健統計で示される長寿は、やはり彼らの食事法、それはキーズ博士によって提唱されたギリシアや南イタリアの正統派、伝統的なスタイルとは異なるけれども、より幅広い意味で「地中海式」と呼ばれる包括的なダイエット(食事法)のおかげであるということが分かりました。
今日健康食ブームから、ある食品に含まれる特定栄養素の健康への有益性が発表されると、世間の注目が一挙に集まって、その食品の入手が困難になるという特異な現象が起こります。これに対して地中海式と呼ばれる包括的な伝統的食事法には、たとえば食べ物に備わる病気の予防効果は、食品の一栄養素の作用というより、複数の食品からなる食事法全体が有する、さまざまな栄養学的価値の相乗効果によるものだという考え方があります。ここでスペインの人々の平均寿命が高く、地中海諸国の中でも心臓病の発症率が少ないのは何故かという話を進める前に、ちょっとこの広い国を概観してみますと、国土は大きく三つに分けられます。
まず地中海沿岸の海岸平野と呼ばれる地方。北から南に順に、カタルーニャ、バレンシア、ムルシア、アンダルシアの各地方が含まれ、地中海沿いのリゾート地は同時にヨーロッパでも有数の果物栽培地です。バレンシアと聞くとオレンジが思い浮かびますが、パエリア発祥の地として米が採れることも銘記されるべきです。そして地中海に面した東海岸の食事の特徴はやはり魚介類です。イベリア半島も最南端のアンダルシアまでゆくと、魚はオリーヴオイルを使って揚げて調理されます。アンダルシアはまたブドウとオリーヴの土地であり、イスラム文化の影響が強いこの地域では、アーモンドやイチジクを使ったデザートもあります。
メセタ。アンダルシアから首都マドリッドへ向かうAVE(新幹線)の車窓からは、このような風景が延々と続く。 |
次はメセタ(高原地帯)。スペインを訪れた人は、列車やバスの中から、このメセタと呼ばれる台地と赤茶けた地肌の丘陵が織り成す荒涼とした風景を見て、ある種の感慨を覚えるといいます。スペイン中央部に広がるこの標高800メートルの台地は、中心にある首都マドリッドを境に北と南に分けられますが、北のカスティーリア・イ・レオン地方は寒暖の差の激しい大陸性気候で、古い城やカテドラル、ローマ時代の遺跡があり、チーズや子羊のロースト肉や子豚の丸焼きといった名物料理があります。そして南のカスティーリア・ラ・マンチャは世界有数のワイン産地として名を馳せています。
最後に北部山岳地帯ですが、西は大西洋岸から東の海岸平野にかけて、ガリシア山脈、カンタブリア山脈、またピレネー山脈がメセタとの境をなして、スペイン北部を横断しています。大麦小麦など穀類は主としてこのガリシア、カンタブリアなどの北部で収穫されますが、山岳地帯はカンタブリア海や大西洋に険しく切り立っており、カニやエビなど甲殻類、貝類を初めとしてありとあらゆる魚介類が獲れるのです。
以上述べてきたように、広い国土に地理的な多様性を擁したスペインは、古代から麦、ブドウ、オリーヴの収穫、羊や豚の飼育で知られ、日常の食生活では、肉と乳製品、それに果物と豊富な魚介類が特徴といえるでしょう。
ここで2002年度版WHOの統計を、もう少し詳しく眺めてみます。全ヨーロッパ地域で平均寿命が高い国はアイスランドが1位、スウェーデン2位、モナコ3位、スイス4位ときて、スペインは11位にランクされます。何だ11位かと思われるかも知れませんが、長寿地域といわれる地中海沿岸諸国に限ってみれば、モナコ、イスラエル、サンマリノ、アンドラ、イタリアに次いでスペインは六番目にランクされます。アンドラ公国は聞きなれない名前ですが、フランスとスペインの間、ピレネー山脈の東に位置する小さな独立国です。サンマリノ共和国もイタリア半島アドリア海に面した小国で、カジノで知られるモナコ公国も含めて、それぞれ国民一人当たりのGDPが高いという特徴があります。つまり社会保障の行き届いた裕福な小国を除くと、20カ国はあろう地中海諸国全体で、スペインはイスラエル、イタリアに次いで堂々第三位の長寿国になるわけです。
地中海に降り注ぐ暖かな陽光を浴びながら、真冬のバカンスを楽しむ、素敵なスペイン夫婦。コスタ・デ・ソルの中心マラガで。 |
国の経済が豊かであればそれだけ医療を含めた社会保障が行き届くはずで、人は長生きするでしょう。アイスランドやスイスなど平均寿命が高い国々は、GDPおよびGDPに占める医療給付費の割合が高い。ところがスペインという国は、国民一人当たりのGDPとその医療給付費の比率は7.6%で、ヨーロッパの国々の中では20位くらいと随分低いのです。医療給付が多くて長寿というのはあまり自慢にはならないし、本当に生活環境がよいというのとは意味が違います。ちなみに日本は国民一人当たりのGDPは高くドル・ベースで26,860ドルですが、政府が予算不足を理由に医療給付の伸びを抑制しているために、GDPあたりの医療給付率は7.9%、2,133ドルほどになります。国民皆保険により一人当たりの医療給付費は下がる(分け前が少なくなる)のは当然としても、2,133ドルという数字は先進国のなかでもかなり低い。それでも日本人が世界的に長寿というのは、やはり称賛されるべき事柄ではありますが……。
自由を謳歌するスペイン
出生率は低下しているというが・・・。新年を迎えたスペインのレストランは、大勢の子どもを連れた家族で賑わっていた。 |
人口動態からみた一国の平均寿命の規定因子は三つ、出生数と死亡数、それに移民数です。出生率は女子の教育、高学歴化、初婚年齢とも関連しており、どの先進国でも減少傾向にあります。スペインでも1980年を境にしてそうした傾向が高まっているのですが、先に述べたとおり、同じ南欧諸国のイタリアなどでも出生率は下がり続けている一方で、北欧やアメリカでは80年代半ばより出生率が上昇に転じています。働く女性が増えてきたときに、仕事と生活の両立支援や、子育ての環境整備が整ってきたという背景があると考えられます。死亡率をみると、日本を含めて欧米先進国では、乳児死亡率が改善されると同時に、若年者では事故などの外的要因、中高年者では心血管病や癌による死亡率が平均寿命に大きく関わっています。特に高齢になるほど動脈硬化に基づく心血管病、つまり狭心症や心筋梗塞、脳血管障害が増える傾向にあり、こうした病気はいったん発症すると、その後の生活の質(QOL)が著しく損なわれるため、[健康寿命]を長らえるためには、いかに動脈硬化の進行を抑制できるかがポイントとなります。
寿命が延びる要因には、生物学的、社会経済学的、政治的要因などが指摘されていますが、世界には戦争や難民を生み出す政治的影響力から隔絶され、経済的には貧しく医療制度も整っていないのに長寿の里と呼ばれる幸せな地域があり、中でも百歳以上の老人比率が人口10万人当たり9.7人というホータンウイグル族が有名です。この地域に住む人々は外部との結婚はほとんどなく、人口の移動や遺伝子の変化がないといわれています。また医療過疎地で手厚い保障を受けて長生きしているわけでもないので、この地に暮らす老人たちの長寿は[自然長寿]と呼ばれています。これは非常に特殊なケースであって、学問的には興味深いのですが、本稿のテーマからははずれてしまいます。
バルセロナの街角で。大道芸に活気があるのも、あくせくと時間にとらわれないスペイン人気質ゆえか。 |
さて、スペインを旅していて実感するのは、楽しさ、陽気さを大切にする彼らの心、そして何よりも自由を謳歌する国スペインということです。それは1975年、フランコ将軍の長い独裁政権が終わって、それまでの抑圧政治から解放されたスペインだからこその特徴だと言われています。シエスタ(昼寝)とパセオ(散歩)、夜遅い時間に夕食を食べる習慣。私たちもアンダルシアの青空市場を覗いたり、深夜遅くに始まるタブラオでのフラメンコに出かけたりすると、時間にとらわれないスペイン人の生活がよくわかってきます。しかし一方で、この快楽的な生き方、寛大すぎる社会、そして風変わりな労働時間の習慣が、1986年に加盟したEUにどこまで溶け込めるかという問題も指摘されています。
スペインでは人口の都市集中が1960年頃から始まり、現在七割以上の国民が都市に暮らしていますが、都市生活においてもゆったりとしたスペイン人気質は残っているようです。都市生活のストレスがたまらない工夫(装置)が、EUの域内にも持ち込んだ独特な生活習慣や、有名な祭りの文化の中に秘められているのでしょう。先述の心血管病などの死亡率が低く抑えられ、[健康長寿]を謳歌している秘密も、食事を中心とした独自のライフスタイルのなかに潜んでいるに違いありません。この数十年、医療給付率は低いのに地中海諸国の中でも平均寿命が上位にランクされるスペインの長寿の秘密を解き明かそうと、大勢の学者がその食事法を研究してきました。地中海式ダイエットをめぐる医学論文の数でも、スペインは、その本家ギリシアやイタリアよりもまさっています。
三つのパラドックス
地中海に臨む南イタリアの小さな町。こうした地域に暮らす人々の質素な食事が、実は世界でいちばん健康的だった。 |
地中海沿岸諸国を対象にした疫学研究では、しばしばパラドックスという言葉が用いられます。1958年に始まった7カ国研究は、研究開始後、10年、20年、30年の節目には、主唱者キーズ博士とその同僚が論文を発表し続け、現在でも何カ国かで調査が継続されている何とも息の長い研究ですが、最初の10年間で、ギリシアと南イタリアなど、7カ国の中で最も経済的に貧しく、社会基盤の整備も遅れ、先進医療の受益が少ないと思われていた地域で、人々の死亡率が最低という結果が出ました。これが最初のパラドックスとなりました。
赤ワインは動脈硬化(心臓病)を予防する。でも、飲みすぎには注意。 |
二番目のパラドックスが生まれたのはフランスです。フランスは地中海諸国に数えられるとはいえ、地中海に接しているのはプロヴァンスなど一部で、国全体としては肉の消費量がだんぜん多く、血中コレステロール値が高いはずなのに、心臓病の発症率が低いという不思議な現象が科学者たちの興味を引いていたのです。この現象を1992年、『ランセット』というイギリスの医学雑誌に載った、”Wine, alcohol, platelets, and the French paradox for coronary heart disease.” という論文がフレンチ・パラドックスとしてとりあげ、同時に世界中で赤ワインブームが巻き起こりました。赤ワインが心臓病の予防に役立つ理由は、アルコール(エタノール)に備わる血液中のコレステロール改善作用や、血管内に血栓を出来にくくする抗血栓作用に加えて、赤ワインに豊富に含まれるポリフェノールが、より強力な抗酸化、抗炎症作用、血管拡張作用をもたらすためです。ちなみにワインとビールとで冠動脈疾患のリスクを比較すると、ワインの方が10%以上大きな予防効果が確認されています。しかしその効果はワインを飲めば飲むほど高まるというものではなく、「一日飲酒量は200mlまで」が統計学上有意とされています。過度の飲酒は血圧のコントロールを悪くし、肝臓病(肝硬変や肝癌)の発症要因となります(そうした反省から、近年フランスでもワインを含むアルコール飲料の消費は減りつつあります)。いずれにしても地中海地方の食事では、果物や魚などの摂取と併せて、ワインが心臓病による致死率に関連することから、ワイン自体はダイエットの構成要素ではないが、選択肢として食事中の適度の摂取が勧められるのです。
フランス人は肉が好き。地方都市グルノーブルで、早朝散歩していて気がついたこと。朝一番早起きなのは、パン屋さんと並んで、肉屋さんだった。 |
ところでヨーロッパの国々は、日々の食事に占める植物性食品と動物性食品の摂取比率から、大きく三つのグループに分類されます。第一にオリーヴオイル、穀類、野菜、果物など植物性食品が主となる地中海地域の国々。古代ギリシア・ローマの食文化伝統を受継ぐギリシア、イタリアが代表格です。第二にイギリス、ドイツ、北欧など、獣肉など飽和脂肪酸を多く含む動物性食品の摂取が多い国々で、こちらはギリシア・ローマ型と対比して、ケルト・ゲルマン型と命名されます。そしてその中間、第三のグループに、フランスとスペインが入ります。どちらも地中海沿岸諸国に数えられるのですが、植物性食品と併せて、肉やチーズなど動物性食品の摂取量が比較的高いのが特徴です。そのスペインで、動物性食品の摂取量が増え、穀類やオリーヴオイルの消費量が年を追って減っているにもかかわらず、動脈硬化に基づく脳血管障害や心臓病の減少傾向が認められた──1995年Serra-Majemらスペインの研究者たちは、それを「スパニッシュ・パラドックス」と呼びました(註3)。
(註3) | 1964年から1990年にかけてスペインで認められた食生活の変化は、獣肉と乳製品、魚介類、果物の摂取増加と、パン、米、ポテトなど炭水化物を多く含む食品とオリーヴオイルの摂取量低下でした。独裁政治から開放された1976年以降、経済のグローバル化や観光産業の発展につれ、獣肉など動物性食品の摂取量が増えると同時に、便利で保存のきく加工食品が入手しやすくなりました。ひとたび加工食品が社会に浸透し始めると、自ずから非加工食品の摂取量は減少し、伝統的に植物性食品主体の食事が続いていた地中海地方にも、欧米型の食生活の波が押し寄せてきたのです。若者たちはシリアルの代わりにロールパン、甘い菓子やクッキー、ソフトドリンクを好み、大勢の人々が仕出し物を利用し、レストラン、自動販売機などを通じて、家の外で食品を取る機会も増えてきます。 |
南イタリアの市場に、新鮮な野菜と果物が並ぶ。加工度の低い植物性食品をたくさん摂ることが大事。 |
こうしたパラドックスが次々と出現する理由はどこにあるのか。それは地中海式ダイエットと呼ばれる食事法(註4)の奥行きの深さを表しているようにも思われます。パラドックス(逆説)は、衆人の受容している通説、一般に真理と認められるものに反する説である(広辞苑)と定義されますが、第一のパラドックスを例にとれば、第二次世界大戦が終結して間がない1950年代、南欧という社会的にも経済的にも後進地域に住む人々の健康状態はよくないだろうと思われていたのに、彼らの死亡率は最低だった。伝統的な地中海地域の食生活では、日々の食事は穀物、野菜、果物などの植物性食品とオリーヴオイル(植物性脂肪)が主体で、チーズなどの乳製品も摂りますが、総じて獣肉(動物性脂肪)の摂取が限られていた。そのために血液中のコレステロールが低く保たれ、心臓病や脳卒中の発症率が低かったのです。つまり、当時すでに主要死因となっていた心血管病、ある種の癌、糖尿病などの慢性疾患は栄養不足からおきるのではなく、むしろ栄養過多に起因するということが初めて明らかになったわけです。
(註4) | 健康に寄与する地中海式食事法のいちばんの特徴は、日々の食卓で、加工度の低い植物性食品を豊富に摂るということです。7カ国研究が開始された1950年後半、ギリシアや南イタリアなど南欧諸国に暮らす人々は、昔ながらの農業や漁業で生計を立てている人々が多く、日々の食事は穀類(パンやイモ、パスタ)、野菜や果物、豆類が主体で、調理にはオリーヴオイルを用い、チーズなどの乳製品を組み合わせるという質素なものでした。オリーヴオイルを使った料理法は、野菜などにドレッシングとして用い、魚などをオーヴンで加熱して調理するときも、食品が本来持っている栄養素を最大限に活かすことができるという利点があります。 |
スパニッシュ・パラドックスを解く鍵
南欧の街を歩いていて必ず見かける、オリーヴの量り売り店。 |
地中海の三大農産物は、小麦、ブドウ、そしてオリーヴ。 |
世界で最もオリーヴの生産量が多いのはスペインです。その広大な国土から収穫されたオリーヴはヨーロッパ各地に輸出され、その地で収穫されたオリーヴとブレンドされてさまざまな特徴あるオリーヴオイルが生産されています。オリーヴオイルは多くの地中海諸国において主たる脂肪源となっていますが、2002年のFAO食糧供給バランスシートをみると、地中海諸国では一日の食事の総カロリーに占める脂肪の割合は、植物性・動物性を併せておよそ4割であり、ギリシアでは総脂肪量の33%をオリーヴオイルから取っています。イタリアは総脂肪量の23%、スペインは20%をオリーヴオイルが占めています。代表的な植物性脂肪であるオリーヴオイルの割合がスペインで低いのは、肉や乳製品などの動物性脂肪の割合が相対的に高いということを意味します(註5)。
(註5) | 地中海を特徴付ける三つの農作物は小麦、ブドウ、そしてオリーヴです。小麦からはパンやパスタ、クスクスなどが作られ、それらが他の植物性食品(野菜や果物、豆類など)と共に地中海地方の食事の土台をなしています。ブドウから作られるワインの効用は前述した通り。そして三番目に、オリーヴの実を圧搾して得られるオリーヴオイルこそは地中海式食事法の要です。はるか遠い神話の時代から地中海の自然の恵みであり、地中海地域の貿易の主なる産物でした。7カ国研究当時からギリシアで心臓病による死亡が極端に低いのは、他の地中海諸国と比較して、国民一人当たりのオリーヴオイル消費量が群を抜いて多いからだと言われてきました。他の植物性オイルと異なり、オリーヴオイルは一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)を主成分とし、それが善玉、悪玉を問わず血中コレステロールを改善し、含有されるビタミンEやポリフェノールなどの抗酸化物質の効果とともに、総合的に動脈硬化の予防に役立つことがわかっています。最近ではオリーヴオイルが血管の内皮細胞の機能を高め、血圧降下作用があることも分かってきました。 |
パルテノンの北にあるエレクティオン神殿には、守護神となったアテナが祀られる。ギリシア神話によれば、女神アテナが最初のオリーヴの樹を創り出し、豊かな実をギリシアの人々にもたらした。 |
オリーヴオイルそれ自身が血液中のコレステロールを改善して動脈硬化を予防すると述べましたが、果たしてそれが動脈硬化の帰結としての心血管病による死亡率を下げるか否かという点については、賛否両論あって分からずじまいでした。昔から心血管病を予防するために脂肪の少ない食事が薦められてきましたが、7カ国研究などでオリーヴオイルを多く摂取する地中海諸国の人々は心臓病が少ないという事実が明らかになってから、動物性脂肪やトランス脂肪(マーガリンやクッキーに含まれる)は身体によくないが、オリーヴオイルの脂肪はいくら摂っても大丈夫だという考え方が出てきました。それで、ギリシアやイタリアでは1990~1993年にかけて、オリーヴオイルおよびその主成分であるオレイン酸の摂取が心臓病を防ぐか否かを、症例対照研究(註6)という方法で調べたところ、有益だという結論はまだ出なかったのです。
(註6) | 症例対照研究とは、すでに病気に罹患した患者(症例)と健常者(対照)を選び、過去の日常的な食生活を質問表など使って調査する方法です。コホート研究より少ない対象者で研究が可能で、長期に追跡調査する必要がないなどの長所があるが、信頼性はコホート研究に劣ります。 |
そして2002年、International Journal of Epidemiologyという英国の医学誌上に、171人の心筋梗塞患者を対象に、考えうる他の危険因子の影響をすべて除外したうえで、オリーヴオイルを一日平均52g摂取する人は少量(平均6g)しか摂らない人と比べて、心筋梗塞の初回発症率が82%も少ないという論文が、スペインの研究グループによって発表されました。一日52gという数字が特筆されます。それは世界で最も多くオリーヴオイルを使うギリシアの人々の消費量に匹敵します(註7)。
(註7) | 心臓病の発症にオリーヴオイルが予防的作用を持つか調べる目的で臨床研究を行う場合、誤った解釈をもたらしかねない危険因子の影響は、統計上すべて補正されなければなりません。心臓病の危険因子(あるいは予防因子)というのは一つだけではありません。高血圧や糖尿病、高脂血症などの病気を持っていること自体が危険因子になりますし、喫煙や肥満、運動習慣、食事中の栄養素など様々な因子が相互に関わってきます。 |
ギリシアの人々のオリーヴオイル消費量は世界一。アゴラから望むアクロポリス(アテネ)。 |
地中海式ダイエットの本家ギリシアと比べると、スペインの食事内容にはいくつか違いが見られます。ここで今一度FAO食糧供給バランスシートを詳しく眺めてみると、一日の総エネルギーからみた脂肪供給量(比率)は、ギリシア152.7g(36.9%)、スペイン150.9g(40.3%)とほぼ同等ですが、ギリシアではオリーヴオイルから50.1g取っているのに対し、スペインでは30.9gと少ない。その理由は獣肉総量がギリシア227.9gに対して、スペインでは324.7gと多いためです。また一日の野菜供給量はギリシア672.6g、スペイン404.7g、果物供給量はギリシア475.5g、スペイン324.7gとなります。オリーヴオイルを含めた植物性食品の一日供給量を単純比較すれば、地中海式ダイエットの優等生ギリシアにスペインは及ばないのですが、魚の供給量はギリシア63.8gに対してスペイン130.1gと大きく上回っています。繰り返しますが、スペインでは獣肉など動物性脂肪の摂取割合が相対的に多く、オリーヴオイル摂取(供給量)は一日平均31gほどで52gには届かず、残念ながら、それだけでは心臓病のリスク軽減を説明することができません。
バルセロナ旧市街、ランブラス通り終点にあるコロンブス像。右手で指差す海の彼方(アメリカ)から、ジャガイモ、トウモロコシ、トマト、インゲン豆などの新しい食材を、飢饉が横行したヨーロッパに持ち帰ったのは彼の功績。 |
オリーヴオイルが地中海式ダイエットの要であるということは、単に一日の消費量が多いということにとどまりません。調理用油として肉や魚、野菜をフライパンやオーヴンで調理加熱する際は無論のこと、オリーヴオイルはレモン汁やビネガーと混ぜるだけで最高のドレッシングが出来上がりますし、パセリやオレガノなどのハーブ、ニンニクやトマトとの相性が抜群であることから、パスタなどのソース作りには欠かせません。風味のあるオリーヴオイルと酢を用いた魚介類のマリネは、イカやエビ、貝などの旨みを引き立てます。スペイン旅行で思い出すのは、グラナダで入ったバルで、特産のイベリコ豚の生ハムを、皿に残った黄金色のオリーヴオイルに浸して食べるよう隣席のスペイン人から教えられたときのこと。脂肪分の多いハムを脂肪そのもののオイルに浸けるなんてことは通常ありえないことですが、最上の植物油であるバージン・オリーヴオイルではそれが可能であり、最上級のハムと味覚の上で絶妙なハーモニーを醸し出すのです。その理由は、オリーヴオイルはただの油ではなく、オリーヴの実を絞った風味豊かなジュースであって、脂肪のもつ美味しさというのは、動物性脂肪のハムやチーズ、植物性のオリーヴオイルを組み合わせると、さらに味わい深いものになるからです。スペインという国は、建国の歴史的生い立ちからみても自然地理的な特性を考えても、世界で最も食材の豊富な国であることは疑いを入れません。バルで供されるタパス料理には肉、魚、野菜のほか、ありとあらゆる食材が供され、そのすべての料理にオリーヴオイルが使われている現実は注目すべきことです。
地中海地方の食卓では、前菜、サラダ、メインディッシュを問わず、オリーヴオイルがふんだんに用いられる。 |
つまり、スパニッシュ・パラドックスを解く鍵は、オリーヴオイルに隠されていると言うより、オリーヴオイルを使った地中海式食事法全体のなかに潜んでいると言うべきでしょう。前菜、付け合せ、メインディッシュを問わず、ありとあらゆる料理に使用されるオリーヴオイルは、どんな調理の仕方によっても、それぞれの食材のもつ栄養学的価値を最大限に引き出してくれ、風味と味覚上の満足感を与えてくれます。必然的にオリーヴオイルを多く摂る人は野菜の摂取量も多く、カロチノイドやビタミンC、E、葉酸(心臓病のリスク軽減にとくに効果があるといわれている)を多く摂る傾向があります。一方、オリーヴオイルをよく使用する人は魚介類をよく食べる傾向があることも分かっており、それはオリーヴオイルを使って魚を揚げる料理法にも関係があります。近年、欧米型食事を取り続けると、シードオイル(通常のサラダ油)や動物性脂肪食品に含まれるn-6系多価不飽和脂肪酸を摂り過ぎるために血栓を生じやすくすることが問題視され、栽培されていない野生のハーブ、種子類、それに魚脂に含まれるEPAやDHAなどのn-3多価不飽和脂肪酸を豊富にとることの重要性が指摘されていますが、通常のサラダオイルではなく、オリーヴオイルで調理した魚料理を愛するスペイン人の食事では、上記n-3系とn-6系多価不飽和脂肪酸の好ましい割合が観察され、このことが心血管病予防に一役買っているのです。
グラナダで入ったバルは、たまたま知り合った店員(中央女性)が教えてくれたのだが、用心深い観光客が容易に立ち入らないような門構えだった。実はそういう店が、味にうるさい地元客で日々賑わっている。 |
スペインの食事が彼らの長寿を支えている秘密、すなわち冠動脈疾患や脳血管障害など心血管病による死亡率を低下させ、[平均寿命]を押し上げている要因は、世界最大級の生産を誇るオリーヴオイルやワインが有する抗動脈硬化作用、日常彼らが習慣的に摂取する野菜や果物、中でも特産のオレンジなどの柑橘類、豆類、イモ類など、植物性食品全体に含まれるビタミン、抗酸化物質と豊富な食物繊維、人口当たりの摂取量が世界で第二位と言われる魚介類に含まれるEPAやDHAなどn-3多価不飽和脂肪酸ということになります。しかしそれにも増して重要なのは、それらの栄養豊かな食品を日常的に摂取するという行為が、本質的にオリーヴオイルを使った地中海地方の伝統的な食事法と結びついており、それがスペイン独特の食文化(彼らの食事好きな性向、街のいたるところに在るバルでタパス料理を食べる楽しみなど)の中で、確固たる位置を占めているというところにあるのでしょう。
昨今のサプリメントブームとあわせて、日本でもオプティマル・ヘルスという言葉が盛んに使われるようになりました。それはアメリカから入ってきた概念で、自分のライフスタイルや年齢にあわせて、最適な方法で最高の健康を維持しようという考え方です。そのためには心と身体の健康が大事であり、年齢に合わせた運動とともに日々の適切な食事が不可欠です。ところが効率優先で生産される現代の作物は、それが穀類であれ野菜であれ、伝統的農法による昔の作物と比べてビタミンなどの栄養成分が著しく低くなっていることが分かり、総カロリーは高くても栄養の足りない日々の食事で、この栄養素不足を解消する必要性が叫ばれています。つまりオプティマル・ヘルスは、バランスのよい食事にのみ頼っているだけでは達成できず、抗酸化作用や免疫促進作用のあるビタミンやミネラルなどのサプリメントを積極的に用いることで、たとえば加齢による老化を細胞レベルで最小限に食い止めて、自身が求める健康レベルを達成しようという考え方です。
地中海式食事法全体の中でも、抗酸化作用のあるポリフェノールがいっぱいの果物の占めるウェートは高い。 |
実はこの考え方は1950年後半、キーズ博士らによって始められた地中海沿岸の伝統的な食事の疫学研究に辿り着くのです。この地域に住む人々が病気になりにくく世界で最も長生きだったのは、生涯にわたって老化を予防するような理想的な食事をしていたからに他なりません。北緯25~45度に位置する温帯地方に属する地中海文明は、古来人と物の交流が盛んで、絶えず異なる文化が混ぜ合わされることで再興し、豊かであり続けたのですが、食事に関して言えば、人々は数千年にわたってオリーヴオイルを使った伝統的な食生活の価値観を失わずにきました。その伝統はギリシア・ローマを超えて古代エジプト文明にまで遡ります。それが1950年代、心臓病など動脈硬化性疾患との関わりで、コレステロールや動物性脂肪の少ない食事ということにスポットが当てられ、その後ギリシア、イタリア、フランス、スペインなどの研究者たちによって、オリーヴオイルや赤ワイン、果物に含まれるポリフェノールなどの植物性化学物質(ファイトケミカルズ)の存在と、動脈硬化や癌の発症を予防する抗酸化作用や抗炎症作用が明らかになり、地中海式食事法全体の中でそれらの有効成分が相乗的に健康に寄与していることが分かってきたのです。
参考文献
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- ベルナール・ジャコト(小林淳夫訳) 『オリーヴの本 ─地中海からの美と健康の贈り物─』 河出書房新社 1994
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